新年明けましておめでとうございます。
天候にも恵まれ多くの参拝者を集める東京千駄ヶ谷鳩森八幡宮の年越しの初謡初舞の奉納を終え又新たな一年の始まりを迎えました。
東京都の有形民俗文化財に指定されている立派な富士塚に面する同社能楽殿の奉納初謡初舞は20年以上続く恒例行事として楽しみに鑑賞される方々も多く演者と致しましても一年の始まりに心引き締まる思いで御座います。
本年は干支の辰にあやかり櫻間會に取りましても飛躍の歳と致したく存じます。
3月の流儀の定例会で「角田川」を勤めさせて頂きます。が、今回も櫻間弓川師と能楽研究者で法政大学学長の故野上豊一郎氏による研究から生まれた子方無しの「角田川」にて勤めさせて頂きます。
狂女の心に映った梅若丸を客席の皆様にもご覧頂けるのかシテと地謡の力量を問われる所で御座います。
5月には二つの薪能を承っております。
一つは横浜市金沢区の称名寺薪能。
本年も称名寺の境内に特設舞台を作り屋外での開催の運びとなります。
特設舞台を設置しての大きな催しですから出演者の立場からも成功に向け心引き締め望まなければと思っております。
もう一つは鳩森薪能です。
此れは八幡宮の能楽殿を生かした地元に密着した薪能で御座います。
本年は第23回と回を重ねて参りました。文化に造詣の深い千駄ヶ谷の地の多くの方々に改めて感謝を申し上げます。
毎年8月に横浜能楽堂にて催しております平家物語の世界《語りの伝承》は場所を国立能楽堂(東京 千駄ヶ谷)に移し第27回を迎えますが、大曲「景清」を上演いたします。
本年も狂言に野村萬斎氏、平家琵琶(平曲)に須田誠舟氏の御出演を賜ります。
門弟の伊藤眞也は昨年重要無形文化財総合指定保持者の認定を頂き心新たに舞台に向かいますが、やはり大曲「実盛」に挑戦致します。
本年は3月に「角田川」、8月に「景清」、10月に「実盛」と大曲が続きます。
昨年は先師の年忌にあたり先代の教えに立ち返り、和歌としての美しい日本語を生かす謡、舞を生かす謡を目指して参りました。本年もより一層のその実現に向け会員一同精進して参る所存です。
本年も昨年同様の御高配を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
令和6年 甲辰 元旦
櫻間 紋理右陣
「東北」令和5年1月15日(撮影;国東薫)
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