◇鏡板(かがみいた)
能舞台正面奥にある羽目板、老松の絵が描かれている。
能楽堂の中で音を反響させる効果がある。
◇鏡の間(かがみのま)
舞台と楽屋の中間に位置する部屋。舞台との間を仕切る揚げ幕の奥にあり、大きな鏡が用意されている。出演者はここで能面を付け、装束を整えて出番をまつ。
◇花鏡(かきょう)
世阿弥が著した能楽論書。演技、演出、芸位論など世阿弥自身の経験に基づいて著されているのが特徴。
◇楽(がく)
舞楽の感じを表すリズミカルな舞。唐人や、悪尉の面を着けた老人の神などが舞う舞。
◇神楽(かぐら)
女性の神や神がかった巫女が舞う優雅な感じの舞。「三輪」、「巻絹」、「龍田」など。
◇掛け合(かけあい)
交互に謡でやりとりすること。
◇カケリ<舞-働き事>
修羅道に落ちた武士の苦悩や、物狂いとなった母の心理的動揺などを表現する、緩急のある舞踊的所作のこと。「経政」「三井寺」
◇語り(かたり)
シテやワキが詞(ことば)で物語る聞かせどころ。
◇鞨鼓(かっこ)
雅楽で用いる鼓。腰に鞨鼓を付け、打ちながら舞う舞。
◇鞨鼓台(かっこだい)
雅楽の大太鼓を表した作り物。
◇喝食(かつしき)
半僧半俗の青年に用いる面。額に銀杏型の前髪が描かれている。
◇鬘(かづら)
女性を演じる際に用いる頭髪(鬘・かつら)。後ろを元結いで結び、鬘帯を締める。
◇鬘扇(かづらおうぎ)
鬘物の若い女性が使う扇。「杜若(かきつばた)」
◇鬘桶(かづらおけ)
黒い漆塗りの円筒型の桶、舞台では床几として用いる。
◇鬘帯(かづらおび)
女性の鬘の上から押さえるように締め、背中に垂らす細く長い帯。刺繍を施してあり、女性の役の身分、年齢、季節に応じて使い分けられる。
◇鬘物(かづらもの)
王朝文学に登場する人物を中心に、優雅な女性たちを演じた作品群。情念を昇華した幽玄美を持ち人気が高い。「伊勢物語」「源氏物語」に登場する女性をシテとするものが多くある。
◇冠り物(かぶりもの)
冠、烏帽子、帽子、頭巾など頭にかぶるもの。
◇カマエ
能の所作で直立したときの姿勢。全ての所作の出発点であり、行き着く処と言われる能の基本中の基本といわれる所作である。外見上静止しているかのようであるが、内的には前後への力の均衡による充実感と安定感を併せもっていると言われる。
◇神舞(かみまえ)
若い男神が舞う明るく颯爽とした力強い舞。「高砂」「弓八幡」「養老」など。
◇唐織(からおり)
女性の表着(うわぎ)として着用する小袖。紅入(いろいり)は若い女性が用いる。紅無は中年以上の女性が用いる。
◇狩衣(かりぎぬ)
高い身分の男性や、一部の神や天狗が着用する装束。中世の公家が着用した服装。「翁」のシテ、ワキやワキツレの大臣など。
◇観阿弥(かんあみ)
観阿弥清次(かんあみきよつぐ)(1333年〜1384年)南北朝時代の能役者。当時人気のあった白拍子系統の曲舞(くせまい)のリズムを取り入れ、会話が生き生きとした、それまでになかった謡を創り出した。足利義満の庇護を受け能発展の基礎をつくる。世阿弥の父。
◇観世流(かんぜりゅう)
能のシテ方の流派の一つ。室町初期の観阿弥、世阿弥を祖とする。
◇邯鄲男(かんたんおとこ)
眉を寄せた思索的な表情をした青年の面(おもて)。「邯鄲」にて使用。また若い男神「高砂」などにも用いる。
◇喜多流(きたりゅう)
能のシテ方の流派の一つ。江戸初期に徳川二代将軍秀忠に取り立てられて流派を興す。
◇着付(きつけ)
表着(うわぎぬ)の下に付ける装束。下着として用いるが、肌着ではない。
◇急の舞(きゅうのまい)
終始急テンポな舞。「道成寺」「紅葉狩」の中で舞われる。
◇狂言方(きょうげんかた)
能の中で狂言を演じる集団。和泉流と大蔵流とがある。
◇狂言面(きょうげんめん)
狂言で用いる面、神、鬼、妖精、醜女などを演じる時用いる場合がある。「武悪」「ウソフキ」
◇キリ
一つの作品の終わりの部分をさす。
◇斬組(きりくみ)
何人もの武士が登場し刀を抜いて切り合い、次々と斬られてゆく場面。
◇切能(きりのう)
鬼や龍神などが主人公として登場してダイナミックな舞台を見せる能。
◇クセ(くせ)
白拍子系の曲舞の節を取り入れた長い謡。叙事的で大部分は地謡によって謡われる。クセにあわせて舞を舞うのを「舞グセ」、役者が舞台中央に座ったままで居るのを「居グセ」という。
◇クツログ(くつろぐ)
役者が後ろ向きになって演技を一時中断すること。この間は舞台から一時姿を隠しているものと理解する約束になっている。
◇クモラス(くもらす)
うつむいて、物思いや悲しみを表す動作。
◇狂い笹(くるいささ)
シテが持つ笹の枝、物狂状態を象徴する。「三井寺」「隅田川」
◇黒頭(くろかしら)
童子(どうじ)、青年、神体、痩男(やせおとこ)などの面をつける男性演者が、面を隠すようにかぶる、黒色の長いふさふさした髪。後ろは腰の下まである。
◇黒垂(くろだれ)
黒色の毛で作られた頭髪の一種。肩下までのストレートで、烏帽子か冠を付ける。
◇黒髭(くろひげ)
龍神を表す黒々とした髭が特徴な面。
◇現在能(げんざいのう)
現実の時間経過に沿って劇が進行し、登場人物も多くが生きている人間として登場する能の総称。「安宅」「小袖蘇我」「鉢木」など。
◇見所(けんしょ)
観客席の事。正面席、脇正面席、中正面席があり。能はあらゆる方向からの観賞を前提としている為、横、斜めといった表現は使わない。
◇後見(こうけん)
舞台の役者の後見をする役。紋服で後見座に居る。通常はシテの装束の乱れを直したり、持ち物の出し入れをするなどの進行の手伝いをする。後見の本来の役目はシテに事故があったときシテに代わり役を演じる事となっている、代役である。
◇小牛尉(こうしじょう)
小尉(こじょう)ともいい、気品のある老人の面。
◇小面(こおもて)
女面で一番年齢が若く、悩みを知らない処女の純真さを表す面。
◇小書(こがき)
能の特殊演出の事。番組の曲目の脇に小さな字で特殊演出の名称が書かれていることに由来する。
◇子方(こがた)
少年の役者が演じる役。
◇黒式尉(くろしきじょう)
「翁」三番叟の後半に着用する、色の黒い老人の面。
◇腰帯(こしおび)
狩衣、法被(はっぴ)などの上着の上から腰を締め、前に重ねて結び垂らす帯。
◇五番立(ごばんたて)
能の作品の分類法の一つ。翁から始まり祝言で終わるまでの1日の演能形式を指す処から来ている。神(かん)、男(なん)、女(にょ)、狂(きょう)、鬼(き)と一般的に分けられる。神の能(脇能・わきのう)の祝言性に始まり、だんだんと人間の情念のドラマに深化して行き、鬼の能(切能・きりのう)で祝言性に戻ってくる。
◇五番目物(ごばんめもの)
能の五番立分類の五番目をさす、鬼や天狗をシテとするもの。初めは人間の姿を借りて登場し、後に再び姿を見せるときに本体を現す、複式能形になっている。切能を指す。
◇金剛流(こんごうりゅう)
能のシテ方の流派の一つ。室町時代の猿楽座の一つ坂戸座を源流とする。昭和に入り宗家が途絶えたが、京都の野村家が宗家を継承し、京都を中心に活躍。写実性と“舞金剛”と言われる豪快な舞に特徴がある。
◇金春流(こんぱるりゅう)
能のシテ方の五流派の一つ。五流中最古で、秦河勝(はたのかわかつ)を始祖とする。もとは円満井座。金春禅竹(57世宗家)を金春流中興の祖とする。桃山時代には豊臣秀吉に後援された。
明治以降の名手として、金春広成・櫻間左陣・櫻間弓川(きゅうせん)・櫻間道雄などがいる。